【映画感想】ラスト・ボーイスカウト(1991)
奥さん、バディムービーだよ。
監督は『トップガン』『ビバリーヒルズ・コップ2』『アンストッパブル』のトニー・スコット。
脚本・製作総指揮は『リーサル・ウェポン』シリーズ、『ロング・キス・グッドナイト』脚本・製作、『アイアンマン3』脚本・監督のシェーン・ブラック。
さて何でこのタイミングで『ラスト・ボーイスカウト』なのかと言うとですね。
現在公開中の映画で『ナイスガイズ!』と言う作品がございまして。
まだ観てないんで内容については何とも言えないんですが、評判は上々みたいです。
で、この映画の監督・脚本(共同)が『ラスト・ボーイスカウト』のシェーン・ブラックさんだそうでしてね。
こう、『ナイスガイズ!』の評判に乗じて旧作を取り上げ、アクセス倍増→仕事が来る→儲かる→田園調布に家が建つという計画でありますの。
うひひひひ。
で、このシェーン・ブラックさん。
皆さん名前に聞き覚えはありませんかねえ。
そうです。
プレデターのメガネの彼です。
あの、逆さ吊りにされてた。
フィルモグラフィを見ると、役者に監督に製作に脚本と80年代から変わらぬ大活躍っぷりに驚きます。
で、どうも聞いたところによると最新作『ナイスガイズ!』は『ラスト・ボーイスカウト』と内容がほとんど一緒だそうでして。
調べてみればなるほどこのシェーン・ブラックさん、バディムービーを沢山やってるんですな。
勿論一番有名なのはメル・ギブソンとダニー・グローヴァー共演の『リーサル・ウェポン』でしょう。
他にジーナ・デイヴィスとサミュエル・L・ジャクソン共演の96年『ロング・キス・グッドナイト』。
ロバート・ダウニーJr.とヴァル・キルマー共演の05年『キスキス,バンバン』。
(同じくロバート・ダウニーJr.主演の『アイアンマン3』にはサイドキックのウォーマシン役でドン・チードルが前作に引き続き出演。これもバディムービーの要素を含んでいます。)
どの作品も立場の違う問題を抱えた2人が、絆を深めることで互いの問題を解消して真の相棒になる〜所謂正統派なバディムービーです。
最新作『ナイスガイズ!』ではラッセル・クロウとライアン・ゴズリングがコンビを組みます。
では本作『ラスト・ボーイスカウト』のあらすじはと言うと、
警護していた政治家を正義感から殴り飛ばし職を失って落ちぶれた現私立探偵が、賭博問題でスターの座を追われヤク中になってしまった元プロフットボールプレイヤーとコンビを組み、その恋人の死をめぐる陰謀に挑んでいく……
といった感じ。
元フットボール選手ジミー・ディックスをデイモン・ウェイアンズ。
チョイ役だけど殺されてしまうジミーの恋人コリー役はハル・ベリーでした。
ブルースも含め全体的にコメディ役者が多い印象だけども、これが結構良い映画なんです。
ボーイスカウト(日本で言うなら委員長みたいな?)のように融通の利かない真面目な倫理観を持ち、そればかりに身を持ち崩したジョー。
妻には仕事仲間と不倫され、反抗期の一人娘にもクソッタレ扱いされ、自己嫌悪に陥りながらもがく彼。
一方で不慮の事故で妻子を失い悪事を犯しクスリに逃げてしまったかつての花形選手ジミー。
恋人を失いジョーに協力するうち彼と打ち解けながらも、後悔から立ち直れず攻撃的になる場面も。
過去の過ちに心を絡め取られたままの彼らが、反発しあいつつ他者への思いやりや正義を取り戻していく姿は感動的。
皮肉交じりのジョークの応酬も気が利いてるし、彼らが似た者同士であることがよく伝わり、中盤から徐々に打ち解けていく様子を素直に応援できる。
途中から二人の間を取り持つヘルパーとして登場するジョーの娘も、多少類型的ながら反抗期の多感な娘としてよく出来上がってるキャラだし、彼女がジョーにぬいぐるみ遊びを提案するシーンはブルースの演技も含めてグッとアガる。
シェーン・ブラックの脚本はいつもセリフや設定の伏線が良く効いているためかキャラクターが活き活きしていて、最後まで心地良く観れるのが良いですな。
クライマックスでジョーがジグを踊るシーンは、アクション映画史に残る名場面だと個人的に思うのだが、どうか?
それなりにヘヴィなキャラクター造形ながら、ユーモアあり友情あり大爆発ありスカッと爽やかハッピーなラストを迎えるこの映画。
途中ちょっとだけ冗長になったりするところも含めて「よ!90年代!!」と声をかけたくなる快作です。
しかしまあ昔はよくテレビでも放送してた記憶があるけど、ここんところ観なくなりましたね……。
こういう楽しい“だけ”のあの頃の映画を、また是非たくさん流して欲しいものですが。
忘れられがちなこの1本、『ナイスガイズ!』を観る前でも観た後でも、観比べてみるのはいかがかしら?
しかし奥さん、旦那がクソッタレとは言え不倫相手の男の趣味が悪いよ(笑)。
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2013/06/26
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (3件) を見る